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中国発、急成長アプリ「Pokekara」のGMに聞く日本市場での躍進の秘訣4選

by 兪 捷克 氏 | 5月 16, 2022

Jackie氏のキャリアとバックグラウンドについて

Jackie氏は約15年日本のIT業界に従事しています。日本と中国向けのIT設備のソリューション提案営業に10年以上従事した後に独立。日本のマーチャントに対して中華系決済業者のワンストップソリューションを提供する会社を設立。その後、TikTokの立ち上げメンバーとしてByteDanceに参画し、TikTokのマーケティング立ち上げを行い、組織体制作りやブランド戦略の統括などを4年間行いました。そして、M&E Time Entertainmentに日本市場のGMとして入社しました。現在、同社では、経営全般に加え、アプリの運営や事業開発、マーケティングといった各領域の効率化・最適化や、ローカライズの精度向上などに従事しています。

Jackie 氏のインタビュー記事については、こちらをご覧ください。

M&E Time Entertainmentについて

M&E Time Entertainmentは2016年7月に設立され、北京と東京の2拠点でビジネスを行なっています。2016年9月に、ライブ配信コミュニケーションアプリであるDokiDoki Liveをリリースした後、2018年9月にはオンラインカラオケサービスであるPokekaraをローンチしました。現在は、DokiDoki LiveとPokekaraの2サービスを日本で展開しています。

 

1. ブルーオーシャンを見つけてどんどんとチャレンジをしていく

ここ数年でPokekaraは急成長しましたが、日本に類似のサービスがなかったことがPokekaraの一番の勝因だと思っています。DokiDoki Liveというサービスを日本で2年ほど運営をしながら、新たなビジネスチャンスがないか、ずっとリサーチをしていました。その中で、日本のカラオケの店舗数、カラオケ人口が、おそらくグローバルでもトップに入る規模だということがわかりました。ただ、意外にもオンラインのカラオケサービスにコミュニティ機能を付け加えたようなものはないということがわかりました。そこで、日本市場になかったサービスを提供できたというのが、我々が考えている一番の勝因かと思います。

中国の企業はブルーオーシャンを見つけて、新しいサービスを作っていくのが非常に上手いとおもいます。中国は、どんどんアイデアを考えて、今までにないサービスを作っていくというスタートアップに適した環境ができているかと思います。ただ、スピードを重視しすぎた結果、運営やブランド作りが疎かになったり、商習慣や権利周りでの問題がおこったりといったところで、大きな規模にまで成長できなかったというのは、過去の失敗例としては多かったかと思います。

 

2. 内製でスピード感を持ってすすめるアプリマーケティングとクリエイティブ戦略

アプリマーケティングに関して言うと、中国では内製で大量にクリエイティブをつくる傾向が強いです。
日本は代理店の方々と協業が多いかと思いますが、クリエイティブの量や制作スピードを担保するために、弊社では400〜500程度の素材を毎月すべて内製で作っています。
まず仮説を立てて、いくつかのパターンを決めます。その中で10や20の素材を作り、さまざまなチャネルでテストを実施していき、その中でパフォーマンスの良い素材をさらに改善していったり、あるいはそのテーマを増やしたりしていきます。
そして、効率のよいテーマをピックアップしてき、そのテーマに対してまた追加投資してよりクオリティの高い素材を作っていくような流れです。日本の企業に関してはそこまで大量に素材を作って、あらゆるチャネルでテストマーケティングを実施していくことは、あまり多くないと感じています。

また、このビジネスは、アプリにカラオケ伴奏(曲数)をどれだけ多く持てるかがプロダクトの価値です。そういったところでも、スピード感を持って、他の企業ではなかなか真似できないようなスピードで伴奏を増やしてきました。こういった行動力やスピードが1つの成功要因かと思っています。

 

3. 積極的なABテストでの仮説検証を行うカルチャー

社内では、毎週色々なチームが活発に仮説を出しあっています。その仮説に基づいて「ちょっとじゃあテストしてみましょうか」とか「やってみましょうか」ということが頻繁に行なわれています。
日本のアプリサービスでABテストに懸念を持たれている企業もあるかと思います。ユーザーにABテストを実施するというのは影響がプラスなのかマイナスなのかまだ読めていないので、リスクがあると考える企業も多いと思います。ただ、中国含め外資系の企業では、積極的にABテストをしていて、ユーザーのカバー率を50%ぐらいでテストを実施するケースも頻繁にあります。

そこでマイナスの影響が出れば、改善や追加のテストを実施します。プラスの影響が出てきた場合には、さらにそれを深堀って機能強化していくという形で、どんどん成長を図っていくというのが社内のカルチャーになっているかと思います。
失敗を恐れずに、基本的にはチャレンジ、テストをどんどん促進していくような社風はあるかと思います。

 

4. 郷に入っては郷に従え。現地メンバーを信用して任せる

現地メンバーを信用することが大切です。海外展開にあたって、本社の経営層から現地のメンバーへの指示のみを行うようなマネジメントでは、ビジネスが上手くいかない場合も多いと思います。特にIT業界に関しては1か月どころか1週間などで状況が変わったりすることもあるので、現地をあまり把握できていない本社の経営層たちの判断待ちで進めた結果、支障が出たり、最終的には失敗に繋がったりするというのをこれまでも見てきました。

郷に入っては郷に従え、という形だと思いますが、その国の商習慣を理解した現地メンバーに任せて、現地メンバーの意見を尊重した上でビジネスを進めていくと、海外でも成功する企業が増えてくるのではないのかと思います。